工房閑話
推薦状
時々このような相談を受けることがある。
「市会議員とか市長さんから推薦状をもらうと、ビザの許可を取得し易くなるでしょうか?」
市会議員や国会議員だったり、時にはその他社会的地位の高い人だったりするのだが、その効果や如何に?
政治家の口利きと云うと、大臣辞任に発展したが、URと補償交渉を行っていたS社が甘利事務所の推薦の結果、多額の補償金を獲得することができたことは記憶に新しい。
ビザの場合の口利き、いや推薦状はどうであろう。
例えば、214b条項をクリアーするための重要な要素である、日本との結びつきを証明する役に立つか考えてみよう。果たして、彼(あるいは彼女)が「申請者がアメリカに居座ることなく、必ず日本に帰ってくる」ことを保証できるのだろうか。これは常識的に考えても無理な相談である。
Eビザの会社の要件の審査についてはどうだろう。在米のEビザ候補会社の地域への貢献度が高いことを、知事なり、議員なりが書いてくれると、役に立つだろうか。間違いなくプラスには働くと思う。ただ、新聞記事等でも同様の効果が期待できる。つまり、その程度であって、Eビザカンパニーとしての有資格を決定づける力はない。
推薦状に、審査結果を左右する効果は期待できない。そもそも政治家の推薦状を見ると領事は身構えるのではないだろうか。口利きで審査に手心を加えたと疑われると、自身のキャリアーに瑕がつくことだろう。審査はあくまで法律に基づいて行われる。勿論、現実社会のことであるから、余人の目に触れない所でも不正は一切無いと言い切るつもりはないが。
溢れるリオの記事に埋もれて、気づいた人は少ないだろうが、先日、甘利元大臣のケースは秘書も含め、不起訴が確定したことが報道された。海の向こうであれば、こうはいかない。たとえトランプ家ご用達の弁護士を雇っても、である。
2016年8月25日