工房閑話
旅行会社とビザ
日本ではビザの手続きを、ビザの種類に関わらず、旅行会社に頼むと云う商慣習が定着しています。さらには取扱いが認められていない、外国人の日本のビザ手続き依頼までくることもあり、その過分な期待に只々恐縮するばかりです。航空券と一緒に安価な料金で引き受けてくれる、ある意味で優れた仕組みです。市場から一定の支持を得てきた所以です。ところが経済構造の変革に伴い、旅行会社は旅行を買ってもらっても、手間のかかるビザの手続きを、安価な手数料で引き受けることができなくなってきたのです。
旅行業に於ける主要なトラブルに「手配漏れ」があります。ホテル、航空機の予約が代表的ですが、最も深刻なのはビザの問題です。前者は代替案が有りますが、後者は有りません。日本人のビザなし渡航が進み、ビザ手続き自体が稀になり、旅行会社に於けるノウハウの蓄積も困難になり、多少値上げしても算盤が合わなくなってきています。
と云う具合に、旅行会社のビザ離れが加速している一方、需要は確実に存在し続けており、ここに着目した大手旅行会社HISが旅行を申込まなくても、ビザ手続きのみ引受けるサービスを開始しました。いろいろな国のビザを取り扱っているので、さすがに現時点(2013年9月18日)では、アメリカについてはESTA(ビザなし渡航用の認証につき、ビザではありませんが)のみの取扱いのようですが、選択肢が増えることは旅行者にとって朗報に違いありません。今後の動向を見守っていきたいですね