工房閑話の閑話(寄稿)

 

 

最新アメリカ入国手続きレポート (2014年11月)


 日本航空002便羽田発サンフランシスコ行きは最新の機材を使っている。
ボーイング787Dreamlinerである。
 2014年11月17日午前零時5分発。感覚的には16日の深夜発である。サンフランシスコ到着は現地時間16日の午後4時15分であるから日付が一日戻ることになりややこしい。
 それはともかく最新機材は快適である。なによりも清潔感があふれている。機内全体に空間が広がっていて開放感がある。ノーベル賞ですっかり有名になったLEDの明かりも心地よい。驚いたのは窓が大きくなっていて、しかも窓を閉めるためのシェードがないこと。なんと電子カーテン方式となっている。飛行中、天空に月がでていると思って外を見ていたが実はそれは太陽だった。まぶしさがなく、クルーによって明りのコントロールがされているようだ。こんなふうに書いていると豪華なビジネスクラスに乗ったのかと思われてしまうが、実際は格安エコノミー席。これでもこの機材であれば十分に快適である。


 さて、日本航空の宣伝のようになってしまったが、肝心のアメリカ入国手続きについてである。筆者は2011年にもESTAを利用してホノルルで米国への入国をしている。その頃もESTAの制度はすでに導入されていたが、まだ初期段階であっため定着している今回とは異なっていた。
 大きな変更点は以前は無料であったが、今は有料である点だ。ESTA以前を知っている人にとっては有料というのは負担に感じる。しかしさらにさかのぼれば観光といえどもB2ビザが必要であったため、その取得料金が結構かかっていた。こちらは旅行会社に依頼するための手数料ではあったが。いずれにしても、米国に入るには金がかかる時代になっていることは間違いがない。

 ESTAが定着してきたためによくなった点がある。2013年より変更になった点であるがI-94W書類が不要になったことだ。この書類はひとりが1枚絶対に記入をしなくてはいけなかた。質問項目はESTA登録をするときと同じような内容だ。今やアメリカ入国前に書かなければいけないのは税関申告書のみである。こちらは家族に1枚ですむ。

 

 日本航空は無事にサンフランシスコに到着し、10時間ほどの旅で疲れ切った体を伸ばしながらいよいよ入国手続のラインにならぶこととなった。筆者は過去には仕事の関係で米国に行くことが頻繁にあった。1980年代90年代の20年間で少なくとも50回は米国への入国をしているはずだ。

 米国民ではないから面倒な入国審査をしっかりとうけないといけない。新制度であるESTAの効果で手続きが簡素化されたのか気になるところだ。
手続きラインで30分ほど待たされたところでいよいよ自分に順番がやって来た。手続きには夫婦であれば一緒に窓口に行ってもかまわない。手続きは一緒の方が早く終わる。
 まず、パスポートを渡す。簡単に渡航目的が質問される。一般的な観光であればsightseeingと応えれば問題はないはず。提出したパスポートの情報を機械に読み込ませるだけで必要な情報が画面に出ているのであろう(こちらからは見えない)しつこい質問はされない。むしろ入国審査官は笑顔で接してくれた。これはめったにないことだ。顔写真を撮られ、両手10本の指紋が採られる。あまい気持ちのいいものではないが、まあ自分の安全もこれで守られるのかもしれないと思い、素直に従う。夫婦2人でかかった時間は4分ほど。あっけなく終わった。実に簡単である。あらかじめ情報が登録されているということで審査官のやる作業が少ないため、待たされているということがないためであろう。これは多いなる進歩だ。


 その後、ターンテーブルに出てきた自分の荷物をピックアップ。税関申告書は出口近くの係官に渡してアメリカに無事に入国した。I-94Wを記入しなくてもすむというのは随分楽になったものだ。

 

 

 以前、格安航空券利用者でこんなトラブルがあった。
 ESTA情報は航空会社の予約記録と連動されているが、そのため長期間の滞在予定で米国に渡ったひとの例である。あるひとが格安航空券を購入して米国に行ったところ、利用する予定のない復路便の日付で勝手に出国処理がされていたというトラブルである。航空会社が搭乗手続きをしていないひとを搭乗済として米国側に報告をしてしまったためだろう。記録上(arrival and departure date records)アメリカから出国済とされてしまったのである。原因はひょっとするとデータを受け取った米国側に処理ミスがあったためかもしれないが、航空会社の処理ミスと考えられる。なにしろ搭乗者名簿に名前がないにも関わらず、搭乗したという報告をしているのであるから。このあたりは処理方法が公開されていないためわからないところだが、いずれにしても米国を出国済とされてしまうと不法滞在になってしう。
 

 

 米国への留学やら駐在で長期間行く人、その際に格安航空券の往復便を購入している人は十分に気を付けないといけません。長期の滞在であれば格安航空券利用は避ける方がいいですね。

 

 

                            木曽士門

 

 

 

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