工房閑話

 

 

 

40にして・・・

 

 かつての上司の言葉を思い出した。「彼らを見てみろ、どいつもこいつも悪党面をしている。」槍玉に上がったのは自民党の重鎮である。有能なこの上司は、グローバルな舞台でも仕事ができる稀有な能力があり、なかでも人間観察力が鋭かった。かく言う彼の相自体かなりのものであったが、確かにその自民党のお歴々は誠に人相が悪かった。昨今の裏金問題を釈明する安倍派幹部を見るに、長期政権党はその持ち味に一段と磨きをかけてきている。

 

 日本映画の歴史に於いて、優れた悪役無くして時代劇の隆盛はあり得なかった。その芸術的な悪党面は今なお記憶に残っているものの、本物の凄みに接すると、何やら可愛くもある。凄みとは、これだけの反道徳的・反社会的な行為を重ねると、凡人なら自責の念に押しつぶされるだろうが、その重圧をものともしない強靭な精神のことである。家族、友人と、一人間としてどのような信頼を築いているのだろうと、余計なことを考えてしまう。

 

 そう言えば、「人は40を超えたら自分の顔に責任を持て」というような格言があったはずだが。はて、孔子の言葉だったか・・・。否、リンカーンの作であった。「ゲティスバーグの演説」は良く知られているが、そのほか、彼は数多くの名言を残しており、これはそのうちの一つ。英語は次のとおり日本人にも分かり易い。Every man over forty is responsible for his face.

わが身を振り返り、この教えに応えていると云う自信は無いが、先の凄みに無縁であることは確信している

 

 

 

                            2024年4月27日

 

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