工房閑話
2024年の幕開け
2024年は能登の地震で幕を開けた。ある知人が「神も仏も無いのか!」と嘆いていたが、これ以上の言葉は見つからない。
恒例のユーラシアグループによる今年の十大リスクのトップが、「米国の分断」であると報じられた。トランプ氏復活を指しているに違いないが、この言葉に違和感を覚え同社のホームページを見てみると、「The United States Vs. itself」と少しニュアンスが異なるが、ともかくそれを裏付けるように、トランプ氏は大統領選皮切りのアイオワ州の党員大会で、予想を大きく上回る圧勝を勝ち取り、今夏の党大会を待つまでもなく、早々と共和党の大統領候補に指名される勢いである。2016年の選挙戦では、トランプ支持を表明することは憚られ、「隠れトランプ」なる言葉が生まれたが、今や逆にトランプを支持しない党員は「名ばかり共和党員」というレッテルを貼られ、肩身の狭い思いをしているよし。さらに、白人・非大卒・ブルーカラーと象徴的に表現されていたかつてのトランプ支持層は、今や高学歴者まで拡がっているそうだ。
先のトランプ政権による米国の唐突な政策変更は、関係各国の不断の努力で危ういながらも一線を越えることがなかったウクライナ、パレスチナ問題を軍事行動に発展させ、イランを追い詰め、さらには気候変動危機を根拠なく真っ向から否定している。話題の他国の指導者も同様に強硬で、他者に対する思いやりがない。トランプ氏の返り咲き、再び世界終末時計の針を進めることになるだろう。分断でも良い、自他共に民主主義を標榜するアメリカの底力で、再選に立ちはだかってもらいたい。
2024年1月28日