工房閑話
ガザ
10月7日のハマスの攻撃は、この地域が中東の火薬庫であることを世界に思い出させることとなった。同時にある疑問が頭から離れない。何故ハマスは自殺行為とも思える手段に出るのだろう? このことである。思いもよらぬ奇襲にイスラエルも心胆を寒からしめたことだろうが、それだけに報復は数倍になることは火を見るよりも明らかであったはず。しかもその矛先は最も弱い一般市民に向かうのである。実際、ガザと唯一陸続きのエジプトはビザを発給しないと報じられており、市民に逃げ場など無く、イスラエルの激しい攻撃により、連日子供を含む市民が犠牲になっている。これでは罠にかかった熊の親子が、身動きの取れない狭い檻の中で抹殺されていくのと何ら変わりない。
ハマスの自爆テロに神風特攻が重なるが、同胞の命を盾にしても自分たちの信念を貫くのと、国民を守るために散っていくのは、似て非なるものである。また、イスラエルもハマスへの報復を果たすために、敵方とはいえ一般市民の犠牲など一顧だにしていない。この苛烈さは何処から来るのだろうか。対岸の火事よろしく、極東の孤島で平和を謳歌している我々の理解をはるかに超えている。
それでも、連日の暗澹たる報道に、かすかな光が出てきた。無理筋に見えるイスラエル寄りの姿勢を取る続ける米国に於いて、政府及びイスラエルを非難するデモが行われている。それもユダヤ系市民によってである。人間も捨てたものではない。
2023年10月28日