工房閑話
小室夫妻のビザは?
小室氏の司法試験不合格が驚きを持って報じられている。このことも日本の危機管理哲学を物語っているような気がするが、それはさて置き、不合格で夫妻を取り巻くビザの風景がどう変わるのか見てみたい。
小室氏は、卒業後の実務研修とも言われるプラクティカルトレーニングに拠って、パラリーガルとして弁護士事務所に雇用されていると思われる。一般的に外国人は、大学(または大学院)卒業後、このプラクティカルトレーニングから就労ビザH1Bに移行する。H1Bの主たる要件は、専攻で得た高度な能力を生かした職務に就くこと。そして雇用先が決まっていることの二つ。但し法律に関する能力でH1Bを申請する場合、この要件を満たすために、司法試験合格という三番目の要件が必要になる可能性がある。もしそうであれば、今回の不合格で来年のH1B申請には間に合わなくなりそうだ。つまり来年2月の試験に合格した場合でも、発表(5月頃と想定できる)はH1B申請の締め切り(4月初め頃と想定される)後になってしまう。その場合、就労ビザ(H1B)申請は再来年以降になり、来年5月のプラクティカルトレーニング終了後はビザ(滞在資格)に空白が生じることになる。
一方小室夫人は、小室氏の司法試験不合格により、「家計を支えるために博物館、あるいは美術館、の学芸員になる」という見通しが報じられている。この場合、夫人のビザもH1Bが最適だろう。夫人の学歴を考慮すると、採用が決まりさえすれば、H1B取得に支障はなさそうだ。但し、実際に仕事に就くには、2022年10月を待たなければならない。
このように、アメリカで暮らそうとする外国人の事情に、ビザが嚙み合わないケースは決して珍しくない。仮に能力面でクリアーできたとしても、時間軸の課題が残ることはままある。小室夫妻のソリューションを見守っていきたい。
2021年11月11日