工房閑話

 

 

COVID 19 収束へのみち 1

 

 緊急事態宣言を受けて、市営テニスコートに続いてスポーツジムのコートまで閉鎖されてしまった。無観客でのプレーに感染のリスクは極めて低いだろうに。知人にぼやいたところ、期待した反応が返ってこなかった。実はある大学病院の医師をしている娘さんのことが心配で、それどころではないことが分かった。少しでも力になりたいと手作りのマスクを作って送ったとのこと。確かに、政府が動かないなか、劣悪な環境にある医療現場の仕事は槍衾に丸腰で突入するのに近いものがある。全く、医療に携わる方々には頭が下がる思いでいっぱいだ。
 
 地球規模で多くの人々が困難を強いられているが、このような状況下で、期せずしてこれまで隠れていた指導者の力量が、可視化されてきている。先頃のドイツのメルケル首相の国民向け演説は歴史に残ると評されているが、実に分かり易くその実効と合わせて国民の信頼を得ている。近いところでは台湾、韓国は見事に収束させている。今最も気懸りなのはアメリカである。大統領はかなり支離滅裂であるが、特にニューヨーク州の知事の活躍は出色で、市民への説明、対策の実行等でここまでできるリーダーは、そうはいないだろう。人々の信頼も厚い。にもかかわらず何故かなかなか出口が見えてこない。広がる格差、不法移民、未保険の問題等、アメリカの持つ負の側面がこのウイルスを勢いづけているようにも見える。家の中に土足で入る。他人と頻繁に接触する。ほとんど手は洗わない。これらの生活習慣も災いしているのかも知れない。

 

 一方我が国はと云うと、幸い感染爆発には至っていないが、この1か月をとっても検査体制をはじめ、政府の対策が遅々として進まず、医療崩壊の不安は大きい。ここで踏みとどまっていられるのは、ひとえに医療現場関係者の危険を顧みない活躍だろう。また、政府の自粛要請に、素直に従っている国民の良識も見過ごすことはできない。これに政府の役割が機能すれば、収束へのみちも見えてくると思うのだろうが。さもなくばワクチンと治療薬の登場を待つことになるかも知れない。


 

                             2020年5月5日

 

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