工房閑話
たこ焼き屋の巨額脱税
「村上春樹の新作のタイトルかと見まごう」は、言い過ぎか。
大阪城公園内の売店の店主が1億3千万円余の脱税で大阪国税局に告発された。
一昨年までの3年間に5億円余を売上げ、3億3千万円の所得を隠していたそうだ。
この巨額の所得を読み解いてみよう。主力メニューが8個600円のたこ焼きで、ここまでの利益を出しているのである。確かに訪日外国人の恩恵を最大限に享受している面もあるが、この店は昔から最強と言われているビジネスモデルの一つで、特に不況には滅法強い。何故なら、大した設備投資が必要ない、営業経費不要、固定費割合が極端に低い。要するに、あまり威勢の良くない商売なのだが、極端に低い固定費のおかげで、仮に売上ゼロでもかなり長い間持ちこたえられる。
それだけに留まらず、巨額の脱税を問われるほど儲かる可能性があることも証明された。「忙しくて、申告できなかった。」という社長の言い訳もある意味で説得力がある(決して許されるという意味ではない、念のため)。恐らく、売上増に伴う経費増を究極まで抑え込み、売上増=所得に近い形にして(なって)しまったのだろう。働き方改革の高プロを先取りするが如く、自身が獅子奮迅の活躍をしたであろうことは想像に難くない。
昨今、人間性を疑うようなニュースが溢れているせいか、不届きではあるが、何やら可愛げのようなものを感じてしまう。この店、脱税を別にすれば、Eビザも取れそうである。
2018年7月25日