工房閑話
リーディングスキルテスト
アメリカ駐在から帰国した頃、当時小学6年の次男が「ペイトウ」と云っているのを聞きとがめ、問いただしたら「平等」のことだった。
中高生の読解力の低下が指摘されて久しいが、2016年から2017年にかけて実施された国立情報学研究所の調査で興味深い結果が出ている。以下はリーディングスキルテストと云う調査の一例である。
「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」と「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」が同じ意味か尋ねたところ、実に中学生の42%、高校生の27%が「同じ」と答えたそうだ。これは「ペイトウ」どころではない。
文部省は、「アジアで一番の英語力をつける」として、小学生に対する英語教育強化に前のめりになっているが、この思考回路の上に積み上げた英語に多くは期待できないだろう。また、明確な目的のない語学の勉強は効果があがりにくく、世界共通語としての英語を修得するのに、中学からでも遅いということはない。現実的な脅威となりつつあるAIとの競争を考えても、小学生時代に基礎的な力を養う教育に力を注ぐ方が大切だと思うのだが・・・。
2017年11月24日