工房閑話
頭上の危機
朝鮮半島の小国が大国を翻弄し、世界中にその存在感を示している。ミサイルが発射される度に我が国のメディアは関連情報一色になり、国民の不安の声を伝えている。また、専門家から素人まで百家争鳴の様相である。平和国家日本の裏返しでもあるのだろうが、ミサイル通過後にも列車を止めたり、学校を休みにしたり、この反応にはやや違和感がある。
確かに北朝鮮の挑発は日本の安全保障にとって大きな脅威である。しかし弾道ミサイルは、もはや領空とは呼べない高高度を、音速の数倍と云われる想像を絶するスピードで、あっという間もなく頭上(?)を通過する。一方、我が国に於いては市街地の数百メートル上空を時速数百キロ程度で、オスプレイとは言わないまでも、航空機が四六時中飛び交っている。いったいどちらが危険なのだろうか? さらに動かし難い前科のある原発と比べた場合は、どうなのだろう?
金政権の常軌を逸した行為を肯定したり、過小評価するものではないが、感情に捉われず、リスクの正体を見極めることが肝要だろう。職業がらついこのような思考回路を辿ってしまうのである。
2017年9月15日