工房閑話
落語全集
希代の天才噺家立川談志の枕に「本に親しみ知識を修得してきた。本と云っても落語全集だがね。」と云うのがあった。振り返ってみれば、ファンとしては少なからず、落語から学ばせてもらった。使用人を夜明けの鶏鳴で起こして、夜遅くまで働かせる庄屋の話を聞いたことがある。たまりかねた使用人たちは一計を案じて、鶏を殺してしまった。ところが彼らは鶏に代わった、早起きの庄屋に夜明け前に起こされる羽目になった。
過酷な選挙戦を制し、現状打開の期待を担った新政権が発足して、1か月が経過した。財政赤字も円安加速も、ものともせず、大胆な大盤振る舞い。あっという間も無く防衛予算2%の前倒しまで宣言。鈍牛とあだ名された大平元総理と首位を争う、見栄えのしない前任と打って変わって、その颯爽とした立ち居振る舞いが、若い世代を中心に国民の熱い期待を集めている。
横須賀の米軍基地配備の空母ジョージ・ワシントン艦上で、トランプ大統領と10年来の知己の如く振る舞う姿に、云うところの個人的信頼関係を築いた証しが見えた。さらに余勢を駆って習さんに喧嘩を売る勇敢な姿は、煮え切らない歴代総理にうんざりしていた我が同胞の溜飲を、大いに下げてくれた。自衛隊の最高司令官の戦艦発言はいただけないが、いざとなれば横須賀でコンクリート漬けになっている、三笠を引っ張り出して対抗する意気込みと読み替えよう。非核三原則などと云う理想論に与しない覚悟と共に良しとしたい。この景色いつか見たような気もするが・・・。
うーむ、次第に影がうすくなっていく落語全集ではあるが、その蘊蓄はいまだに燦然と輝いている。
2025年11月30日
