工房閑話
乗り継いだ京葉線の車内は閑散としていた。東海道新幹線で帰京し、東京駅の年末の大混雑から解放され、くつろいでいると、夕焼けに浮かぶ富士山のシルエットが視界に入ってきた。思わず席を立って写真を撮っている間に、新浦安駅に着き慌てて降車したところ、不覚にも頭上の棚に置いたリュックサックを忘れてしまった。中身には現金とキャッシュカードも含まれている。
事情を聴いた駅事務所の係員は、直ちに終点の海浜幕張駅及び途中駅に調査を依頼してくれたが、発見には至らなかった。後日発見された時のためにウエブサイトへの登録を案内された。恐らく期待薄だろうと覚悟を決めたが、次の瞬間「もう一つ方法があります。その列車は折り返して東京に向かいますが、間もなく新浦安駅に到着します。念のためにご自身でチェックされては如何でしょうか?」と勧めてくれた。
入線してくる列車に胸の高鳴りを覚えながら、乗客のまばらな車内にお目当てのリュックを発見した時には、久しく経験したことの無い喜びを味わった。この若きJRマンの機転と親切な対応に痛く感銘を受け、「ビザコンサルティングもかくありたい」と創業時の思いを新たにした。
2024年12月31日