工房閑話

 

 

 

大阪・関西万博

 

 

 「大阪・関西万博」が物議を醸しているが、この呼称は公式略称だそうだ。
従って、平時はこの略称を前面に押し出して、大阪をアピールする。何しろ公式英文名称は、もう堂々とExpo 2025 Osaka, Kansai, Japanである。一方、正式名称は「2025年日本国際博覧会」である。主催者は大阪府・市ではなく日本国であると示唆する表現になっている。この保険の効果は絶大で、2020年に予算が当初見込みの1.5倍の1,850億円に膨らむことが露見し、府・市の予算管理の甘さが問題になった時は、こちらの看板の出番である。増加額の3分の1(当初予算に対する負担割合)を寛容な日本国政府が持つことになった。さらに、ここにきて、あろうことか、その予算が2,300億円になると報じられている。この額は当初見込みの2倍に近いが、引き続き国税が投入される見込みである。裕福で金銭感覚に乏しいパトロンとは、誠に有難いものである。

 

 大阪万博は先の東京五輪と相似形をなしている。そもそも1970年の大阪万博に見られた国民の高揚感は影を潜め、海外勢の参加意欲も驚くほど低調で、市井の凡人には絶望的に映る。当人の意思を無視したようにカンフル剤を打ち続けている、万博に強力なモチベーションを見出している法人(あるいは個人)の執着は凄まじい。2025年国際博覧会協会の先見性と執行能力からすると、新たな問題が浮上する可能性が高いと思うが、さらなる無心に対して、お上には良識ある判断を期待する。せめてこれ以上の国税の投入は御免こうむりたい。経済効果を言うなら、少しは阪神を見習えばいいのだが。この田舎芝居には、上方フアンとして興ざめこの上ない・・・。

 

 

 

                            2023年9月25日

 

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