工房閑話

 

 

米国の銃規制

 

   

2月14日、フロリダ州パークランド市の高校で銃乱射事件が発生し、生徒ら17人が犠牲になった。米国に於いては、同様の事件が実に延々と繰り返されている事は周知の事実であるが、同市は全米住宅安全協会によってフロリダ州の最も安全な都市2107に選ばれている。フロリダ州の人口千人当たりの平均凶悪犯罪発生率5(全米平均3)に対して、パークランド市は0.24である。人口29,242の同市の凶悪犯罪は7件だった。今回の事件は全米レベルで治安が良いとされている町でも、銃撃事件のリスクに晒されている事を物語っている。

 

相変わらず世論は二つに割れており、残念ながら特に現政権下での根本的な銃規制強化は期待できそうにない。トランプ大統領は、高額献金団体であるNRA(全米ライフル協会)のために、「銃撃犯から生徒を守るべく、訓練を施した教員にボーナスを出して銃を携行させる」と驚きの代弁をしている。愛する生徒のためなら少額のボーナスで活躍してくれるから、予算の心配もないということらしい。「a bonus, a little bit of bonus」と云う言葉から本気度とセンスを窺うことができる。

 

国家の安全保障に於いて、確かに非武装中立は現実的ではないが、法治国家、しかも先進国内に於いて「自衛のために銃が必要である」という理屈は如何にも理解しにくい。このところアメリカの負の側面ばかり目立っているが、そろそろ、スグレモノと評されている軌道修正装置を起動させ、別の顔を見せてもらいたい。

 

 

2018年2月26日

                        

 

           

 

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