工房閑話

 

 

H1B改訂大統領令

   

シカゴから94号線を北に向かうと、1時間余りでウイスコンシン州に入る。州境を超えるとミシガン湖沿いにケノーシャと云う町がある。4月18日、ここの老舗工具メーカー「スナップオン社」で、トランプ大統領が持論の “Buy American and Hire American”をぶち上げた。昨年の大統領選に於いて、ここウイスコンシンでトランプ氏はわずか1%の差で接戦を制し、10人の選挙人を獲得した。ウイスコンシンは白人の比率が高く一見裕福に見えるが、ミシガン湖を挟んでラストベルトにも連なっており、これが勝因に結びついたのだろうか。酪農も盛んで、その牧歌的なイメージに違和感が消えないのだが・・・。公約実現に展望が開けず、支持率に陰りが出てきているが、どのような思いで、この地で得意の大統領令を出すことになったのだろうか。

 

特に “Hire American”については、以前から槍玉にあがっていたH1Bの見直しが、大統領令により当局に指示されたが、恐らく来年度から、より高い技能・給与を獲得する申請者が優先されるシステムが導入されることになるだろう。「真に高い技能を持っている外国人労働者であれば、米国経済を強くし、結果として雇用拡大にも資することになる。」と云う考え方は米国内でも広く支持されており、論理的にも理解できる。また、アメリカ人労働者がH1B外国人労働者に入れ替えられている現実もあり、H1B労働者を大量にアウトソーシングしているインド系のタタを始め、具体的な会社が査察対象とされているらしいが、不正・乱用を防ぐための方策を強化することも至極当然だと思う。こうして見ると、トランプ政権の移民政策は必ずしも支離滅裂ではなく、極めて理に適っていると云える。ただ、F→H1Bを描いている日本人留学生、特に文系専攻者にとっては、米国での就労は益々狭き門となりそうである。

 

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                             2017年4月25日

           

 

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